研究課題/領域番号 |
62480040
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
浅平 端 京都大学, 農学部, 教授 (70026376)
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研究分担者 |
位田 晴久 京都大学, 農学部, 助手 (60151768)
武田 恭明 京都大学, 農学部, 助教授 (20093263)
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キーワード | ナス / 葯培養 / 胚様体 / エピブラシノライド / 低温処理 / 花粉培養 / 房成り性 / 半数体 |
研究概要 |
1.葯培養による胚様体の育成:(1)植物生長調節作用を有する物質として、アブラナ花粉から発見・単離されたブラシノライドと同等の作用をもつエピブラシノライド(EB)の効果を検討した。EBをオーキシン(2.4ーD)又はサイトカイニン(Kinetin=Ki)と併用して培地に添加したところ、胚様体形成に対するEBの効果と共に初代培養における低Ki濃度の有効性が示唆された。また、品種"もぎ"、"E12"を供試し、Ki濃度の影響について追試した結果、初代培養では従来より低い0〜0.01mg/lKiの濃度が適当と判断された。(2)EBの効果は培地へ添加するよりも花蕾を採取する親植物の茎から吸収させる方が顕著であった。即ち、親植物から約20cm長に切り取った枝を0.01〜0.1mg/lEB水溶液に24〜48時間浸漬した後花蕾を採取し、葯培養に供すると、胚様体形成率は10〜15%に向上した。(3)これまでの実験から高温期(6〜9月)の培養成績(胚様体形成)が著しく劣り、親植物の育成環境(特に温度)の重要性が示唆された。そこで採取した花蕾に0〜10℃の低温処理(48〜96時間)を行うと、胚様体形成率が向上した。また、親植物から約20cm長に切りとった枝を18℃の温度条件下に7日間置いた後培養に供すると胚様体形成率が向上した。葯内の花粉は正常な発育過程を経ると不定胚への分化を起さないが、花粉発育の初期に低温に遭遇させると発育阻害や異常発育を起し、このことが不定胚形成を誘起するものと考えられる。 2.花粉培養による胚様体の育成:品種"もぎ"、"E12"で1核期中期〜後期の花粉を供試し、花蕾の行処理、葯の前培養、培養時の花粉密度、培地のホルモン組成、培地環境など種々の処理を試みた。現段階ではカルスあるいは胚様体の形成は認められていない。しかし、オーキシンとしてIAAを添加した実験区において、球状胚の前身とみられる桑実状の細胞塊の存在が認められた。さらに実験の継続が必要である。
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