研究概要 |
前年度、ラッカーゼIII遺伝子をクローニングする目的で、ほぼ完全なラッカーゼIIIのmRNA調整に成功した。そこで本年度は調製されたpoly(A)^+RNAを鋳型として、それに相補的なDNA(cDNA)を合成することとした。 まず、mRNAの3'末端のpoly(A)^+鎖に相補的なオリゴ(dT)をプライマーとして逆転写酵素によりフォーストストランドcDNAを合成した。合成されたcDNAは^<32>Pラベルにより検出可能なアガロース電気泳動法により生成が確認された。次に、セカンドストランドcDNA合成はmRNA/cDNAハイブリッドを基質に、大腸菌リボヌクレアーゼHを利用し、RN.A鎖にニックとギャップを形成し、大腸菌ポリメラーゼIによって、3'-OHRNAフラグメントをプライマーとし利用して、mRNAをDNA鎖に置き換えた。こうして調整されたcDNAはファーストストランドDNAと同様にアガロース電気泳動で検出し、セカンドストランドラベル産物が確認されたことから二本鎖cDNAが完成したとが確認された。次に、T4-DNAポリメラーゼを用いファーストストランドのcDNA3'末端にある小さなオーバーハングを除去した。このcDNAのサイズは2kbp前後であり、ラッカーゼIIIの蛋白分子量が66,000であることを考慮に入れると、ラッカーゼ酵素遺伝子はこれらのバンド内に含まれることが十分示唆された。 次はλgt11を用いたcDNAライブラリーの作製である。今回予備的実験として条件検討を行った。まず、EcoRIメチラーゼによるメチル化条件は、DNAにλHindIIIを用いた場合の反応時間は1時間で十分であった。EcoRIリンカーの結合したcDNAは1μgのmRNAより約200ngのcDNAが得られた。これらの結果より、現在ラッカーゼIIIのcDNAライブラリーの構築がほぼ可能となった。
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