研究概要 |
前年度までの成果として、ラッカ-ゼIII遺伝子のλgt11ベクタ-を用いた組換えに成功し、cDNAライブラリ-の構築が出来た。本年度はcDNAライブラリ-より形質転換株のスクリ-ニングを行い、ラッカ-ゼIII由来のDNAを単離することにある。 まず、形質転換株のスクリ-ニングではλgt11ベクタ-に組込んだcDNA断片をin vitro packaging後、対数増殖期の大腸菌Y1090株に感染させ、ファ-ジの増殖を行った。この場合の組換え体ファ-ジ形成率は74〜92%であった。次にファ-ジにより形成されたプラ-グにニトロセルロ-スフィルタ-をのせ、産生されたタンパクをフィルタ-に移し取り、これにラッカ-ゼIII抗体を反応させ、さらに^<125>IプロテインAを反応させ、オ-トラジオグラフィ-により3種のポジティブクロ-ンを得た。 次に、得られたポジティブクロ-ンを再度回収し、新たな培養を繰返し、候補クロ-ンの増殖をはかった。このポジティブクロ-ンのDNAをミニライセ-ト法で抽出し、EcoRI及びKpnI、SacIで分解後、(^<32>P)dATPでKlenowラベルし、アガロ-スゲル電気泳動後、オ-トラジオグラフィ-分析を行った。その結果、挿入フラグメントのサイズは430bpであると推定された。ラッカ-ゼIIIタンパクの分子量は66,000であることから糖鎖含量を考慮に入れれば、約2kbpと考えられ、今回得られたクロ-ンは全遺伝子ではないが、部分構造である遺伝子をクロ-ニングすることが出来た。このことは基本的戦略には間違いはなく、実験は成功であったと言えるし、大きな成果であった。従って、将来スクリ-ニング回数を多くし、全長鎖を持つクロ-ンを得ることが次の目標となる。
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