研究概要 |
ムスカリニックレセプター活性化による応答反応としては, アデニレートシクラーゼ活性抑制, PIレスポンス, K^+チャンネル開口などが知られている. 一方, 従来M2サブタイプに属し, 単一のサブタイプからなると考えられている心筋ムスカリニックレセプターは, 我々の研究から, さらにM2αとM2βに分けられることが明らかとなった. 本研究では, これらサブグループと受容体反応の連関を明らかにすることを目的としている. モルモット心筋模標品をカルバコールの保護下にムスカリニックレセプターに特異的なアルキル化剤で処理すると, M2αのみを選択的に残すことができる. この条件下でアデニレートシクラーゼ抑制能はほとんど失活しなかった. また, 各種アゴニストのアデニレートシクラーゼ抑制のED.ナD250.ニD2はM2αの低親波性相と一致した. 一方, モルモット心筋スライスを用いてPI代謝促進反応を測定すると, カルバコールのED_<50>値は, 結合実験より求めたM2βの低親和性相と一致した. またオキソトレモリン,ピロカルピニンはPI代謝促進能を持たないが, このこともこれらの薬物が, M2βにアンタゴニスト的に働くという所見と一致する. 以上の結果は, M2αがアデニレートシクラーゼ活性抑性と, M2βがPI代謝促進反応と共役していることを示している. さらに, M1サブタイプが主成分であるモルモット脳スライスでのPI代謝促進反応において, カルバコールの作用は, 膜の脱分極によって著しく促進された.
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