研究課題/領域番号 |
62480156
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
林 英生 香川医科大学, 医学部, 教授 (40033203)
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研究分担者 |
片山 誠一 香川医科大学, 医学部, 助手 (70169473)
南 純三朗 香川医科大学, 医学部, 助手 (40157566)
岡部 昭延 香川医科大学, 医学部, 助教授 (20093677)
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キーワード | 細菌の細胞付着性 / 病原性因子の遺伝子クローニング / クレブシェラ / オキシトーカ / クロストリジウム / パーフリンゲンス / 病原性大腸菌 / 易熱性腸管毒素 / 細胞毒素 |
研究概要 |
腸管由来の病原性大腸菌O86K61は、HEpー2細胞へ特異的に付着する。この臨床分離林は60Kbのプラスミドを持っている。このプラスミドにpTH10のAmPトランスポゾンをラベルして、P_2アリングトランスフォーメーションを行ないその伝達性と発現因子の同定を行っている。60Kbのプラスミドを失っても、細菌表層の線毛の形態、相対量などには著明な変化がみられないが、細胞付着性は低下する。恐らく線毛の質的変化をおこしていると予測される。線毛の抗原性の変化等について継続研究しているが明解な結論を得るに至っていない。 病原性因子に関する研究では、易熱性腸管毒(LT)の産生・調節機構についてと、細胞毒について解析をすすめた。LTの産生量は分離株間でかなりのばらつきがあるが、生産量の異なるLTプラスミドからLTー遺伝子をフローン化し、それぞれのmRNA量、毒素産生量をしらべたところ、mRNAと産生量は相関性があり、その原因はLT遺伝子の転写機構に差があることがわかった。それぞれのLT、遺伝子周辺のシークエンシングとプロモーター活性について引き続き検討している。細胞毒性については、出血性腸炎をおこすと推定されているK.oxytocaについて検討し、分子量約500程度の物質が、HEpー2に細胞毒性を示すことがわかった。これは、大腸菌で同定された赤痢菌類似毒素とは異なるものであり、また標準株のK.oxytocaには検出されないものであることから、プラスミド支配のものと推察され、遺伝的解析をすすめている。 病原性因子の遺伝的解析の技術改善とシステム化のために、従来困難とされていたClperfringensのθ毒素(パーフリンゴリジン)、α毒素(ホスホリパーゼC)のクローニング、シークエンスを試み、これに成功した。この事実の発見は勿論、技術開発の意義が大きく、病原性大腸菌の弱毒性因子の解析が、今後ますます進展し得るシステムが確立した。
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