研究課題/領域番号 |
62480161
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
五十嵐 章 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (40029773)
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研究分担者 |
田中 真理子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (70197474)
堀 博之 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (30199525)
松尾 幸子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (80039916)
榊 佳之 九州大学, 遺伝情報実験施設, 教授 (10112327)
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キーワード | 日本脳炎ウイルス / 病原性 / 遺伝子RNAの構造 / 構造タンパク質 |
研究概要 |
日本脳炎で死亡した患者脳から分離されたJaOH/0566株と、これを細胞継代して得られたブタ用生ワクチンML-17株について塩基配列解析を行なった。ML17株は5′末端の約60塩基を除きウイルス遺伝子全長を覆うCDNAクローンが得られその全塩基配列を決定し、5′末端はウイルスRNAのプライマー延長法によって最も5′末の2塩基を除きその塩基配列を決定した。JaOH0566株については全長の60%を覆うCDNAクローンが得られ、構造タンパク質遺伝子部位について塩基配列解析を終了した。その結果ML17株は約10976塩基から成り5′末端に約95塩基の非コード領域と3′末端に12585塩基の非コード領域が存在し、その間に10296塩基から成るOpenreading frameが存在し3432個のアミノ酸を決定すると推定された。構造タンパク質部分の比較では2413塩基中13塩基の置換があり、その中8個がMタンパク質部分に集中し、Eタンパク質部分には3個の置換が認められた。アミノ酸の変異は、794個中6個の変異があり全てPreMとMタンパク質部分に集中し、Mタンパクの二次構造の変化が示唆されたがウイルスの抗原性および宿生細胞への吸着に関与すると考えられるEタンパク質部分にはアミノ酸の変異はなかった。この親子株について試験管内での安定性を比較した結果、ウイルスの精製濃縮に用いていたポリエチレングリコール処理によってML17株の感染性は極めて不安定である事からも、ML17株の構造タンパク質が親株と変化している事が示唆された。これらの変異が両株の病原性とどのように関係しているかは今後両株について未解析の5′非コード領域、3′非コード領域および非構造タンパク質遺伝子部位を解析すると共に、両株のCDNAクローンから感染性DNAを構築して解析する必要があると考えられる。
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