研究課題/領域番号 |
62480232
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
山田 瑞穂 浜松医科大学, 医学部, 教授 (30111818)
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研究分担者 |
岩月 啓氏 浜松医科大学, 医学部, 助手 (80126797)
滝川 雅浩 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (80115873)
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キーワード | 皮膚リンフオーマ / 成人T細胞白血病リンパ腫 / HTLDーI感染 |
研究概要 |
目的:T細胞性皮膚リンパ腫にはCTLL(菌状息肉症、セザリー症候群)やATLL(成人T細胞白血病リンパ腫)のように腫瘍T細胞が表皮向性を示すものがある。表皮向性は腫瘍細胞の表皮内への侵入と表皮細胞への付着、近接という二つの段階を経て生じる。我々はATLL患者より樹立したHTLVーI感染T細胞株の表皮細胞由来物質に対する走化能をin vitroでの表皮への浸潤のモデルとして用い、リンパ腫細胞の表皮向性のメカニズムを解明した。 方法(1)腫瘍T細胞株の維持:ATLL患者より樹立したHTLVーI感染細胞株を腫瘍T細胞として用いる。(山田)(2)表皮角化細胞由来chemoattractant作製:扁平上皮癌樹立細胞株(DJMー1;自治医大、北島康雄博士より供与)の無血清での72時間培養液を15倍に濃縮したものをchemoattractantとして用いる。(滝川)(3)走化性試験:孔径12μmのメンブレンを着装したボイデンチェンバーを用いる。上室に腫瘍細胞、下室にchemoattractantを入れ、走化能指数を求める。(滝川)(4)走化因子の分子量のゲル濾過法による決定:セファデックスGー200にて、培養上清をゲル濾過し、走化因子の分子量を決定する。(岩月) 結果と考按:ATLL細胞株のうちILー2依存性株ED50826は、カゼインに対してのみならずDJMー1培養上清(sup)に対しても有意な走化性を示した。DJMー1sup中の因子はチェッカーボード解析によりchemokineticであることが判明した。また、ゲル濾過による推定分子量は150ー120KDおよび60ー50KDで、この二つの分子量の因子が同一物質に由来するか否かは、今後の検討を要する。これらの結果より表皮細胞が可溶性因子を産生しT細胞を表皮内へ浸潤させる可能性が充分に考えられうる。
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