研究課題/領域番号 |
62480289
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
安富 正幸 近畿大学, 医学部, 教授 (60028438)
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研究分担者 |
森川 栄司 近畿大学, 医学部, 助手
黒岡 一仁 近畿大学, 医学部, 助手
進藤 勝久 近畿大学, 医学部, 助教授 (80112043)
松田 泰次 近畿大学, 医学部, 講師 (10122110)
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キーワード | 大腸癌 / Flow cytometry / DNA diploidy / DNA aneuploidy / DNA index / リンパ節転移 / 肝転移 / DNA heterogeneity |
研究概要 |
大腸癌143例の核DNA量をflow cytometryを用いて測定し、DNA index(DI)からみたリンパ節転移および肝転移との関係について検討した。さらに同時に切除したリンパ節転移巣の核DNA量を測定し原発巣と比較した。 (1)DNA ploidy pattern DNA diploidy:35,0%(50/143)、DNA aneuploidy:65.0%(93/143)であり、リンパ節転移を認めた症例は、それぞれ15/50(30.0%)、58/93(62.4%)とDNA aneuploidyに有意に高率であった(p<0.05)。DI別にみたリンパ節転移陽性率はDI:1.3〜1.7に高い傾向を認めた。また、リンパ節転移巣の核DNA量を測定した21例では原発巣とリンパ節転移巣のDIは全例で一致した。 (2)肝転移が高頻度に認められる壁深達度がSS,S(a_1,a_2)の大腸癌82例を対象にDNA ploidy patternと肝転移率をみると手術時の肝転移率は、DNA diploidy::0%に対し、DNA aneuploidy:16.4%と有意に高率であった(p<0.05)。また、肝転移再発率を無再発生存曲線から検討すると、5年無再発生存率はDNA diploidyが95.2%であるのに対し、DNA aneuploidyでは72.8%と有意に低く(p<0.05%)、肝転移再発率も高いことを示し、DNA ploidy patternと肝転移の関連性が示唆された。DI別にみた肝再発率はDI:1.5以上に再発率が高かった。 また、術前に大腸癌の悪性度をDNA ploidy patternより判定するためにはその癌巣におけるheterogeneityが問題となる。そこで(3)大腸癌原発巣の口側、中心部、肛門側の3カ所を測定し、そのDNA heterogeneityについて検討した。その結果49例中9例(18.4%)にheterogeneityを認めた。このことは大腸癌ではheterogeneityの頻度は低く最低3ケ所より採取した標本よりDNA ploidyを測定することにより癌の悪性度を術前に把握することが可能であると考えられた。
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