研究概要 |
日本猿成猿9頭を用いて以下の実験を行った. 上顎左右側切歯並びに下顎左右第二小臼歯及び第一大臼歯を抜去後, 3カ月の治癒期間を経た同部に各1本, 計4本の単結晶アルミナセラミックインプラントを植立し, 1カ月後に両隣在歯と上部構造物で連結した. 植立3カ月後まで, 週2回, ブラッシング並びに0.2%クロールヘキシジングルコネート水溶液による洗浄を行った. その後, 実験グループではインプラント頸部に絹糸を結紮することによりプラークの付着を促し, コントロールグループでは口腔清掃を継続した. 臨床的診査として, 植立1カ月後より, 週1回, プラーク指数, 歯肉炎指数, 歯肉溝滲出液量及び盲嚢深さの測定を行い, 以下の結果を得た. 1.プラーク指数は結紮前には低い値を示し, プラークコントロールグループではその後も値に変動を認めなかった. 実験グループでは結紮1カ月後から著明に値が増加し, 6カ月後には約2.5の値を示した. 2.歯肉炎指数及び歯肉溝滲出液量は植立1カ月後までやや高い値を示したが, 1カ月半以降値は減少し, その後もプラークコントロールグループでは低い値を持続した. 実験グループでは結紮1カ月後から著明に値が増加し, 4〜5カ月後にはほぼ一定の値に達した. 3.盲嚢深さは植立1カ月後までやや高い値を示したが, 1カ月半以降値は減少し, その後もプラークコントロールグループでは低い値を持続した. 実験グループでは結紮2カ月後より値は増加し, 6カ月後には約2.0mmの値を示した. 現在,上記の実験を継続しながら, 一定の観察期間(結紮後, 1, 3及び9カ月)経過後, 動物を屠殺しプラーク付着に伴うインプラント周囲組織の変化を光顕並びに電顕を用いて組織学的に観察する準備を行っているところである.
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