研究概要 |
Riプラスミドの一種pRiA4b(約250kb)の遺伝子ライブラリーをコスミドベクターを用いて作成し, それぞれのクローンを制限酵素で切断し切断点地図を作成した. これらのクローンを用いてTiプラスミドのvir領域との相同性をサザンハイブリダイゼイションによって解析した. その結果このRiプラスミドのvir領域は約40kbの領域に局在していること, いくつかのvir遺伝子の大きと及びvir遺伝子間(virA,B,C,D,E,G)のスペーサーの長さはTiとRiで差異が認められたがvir遺伝子の全体の編成はTiの場合と良く似ていることが明らかになった. さらにvir領域内にトランスポゾンを挿入した変異Riプラスミドは確かに植物(ベンケイ草科カヲンコエ及び黒田五吋ニンジンディスク)に対する病原性を失っていることを確認した. vir領域の構造についてより詳しい知見を得るためにvivCD領域(約8kb)の塩基配列決定を行った. 上で作成したRiプラスミド遺伝子ライブラリーの代表20株(Riの全領域をカバーするように選択したもの)を形質転換或はヘルパー存在下の接合(ベクターにRK2プラスミドのoriTを組み込んである. )によってAgrobacteriumに導入しそれぞれの複製能力を調べた. その結果virA遺伝子から約20kb離れた所に自律増殖能を支配する領域が存在することが明らかになった. この領域のサブDNA断片の複製能力, 不和合性及びプラスミド安定性について調べたところ約4.6kbの領域が存在すれば親Riプラスミドと同じ複製持性を示す事が判明した. この4.6kb領域の塩基配列データから3ツの蛋白質合成可能なフノーム(repA,repB,repC)が示唆され, これらはそれぞれの遺伝子産物をゲル電気泳動で同定することによって確認した. repAあるいはrepB遺伝子を破壊すると複製能またはプラスミド安定性に僅かに影響を与えたがrepCを破壊すると複製能は完全に無くなった.
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