研究課題/領域番号 |
62510115
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松井 一麿 東北大学, 教育学部, 教授 (70004108)
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研究分担者 |
山谷 幸司 東北大学, 教育学部, 助手 (50200704)
大桃 敏行 東北大学, 教育学部, 助手 (10201386)
宮腰 英一 東北大学, 教育学部, 講師 (50166138)
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キーワード | 小規模教育委員会 / 教育事務 / 広域化 / 共同処理 / 地方教育事務所 / 事務の機関再配分 |
研究概要 |
本年度は、1.昨年度に引き続き教育事務共同処理の先行事例(「岡山県蒜山教育事務組合教育委員会」「兵庫県氷上郡教育委員会」「宮城県登米地域広域行政事務組合教育委員会」等)の実態調査を行うとともに、2.教育事務共同処理の背景を、(1)戦後の教育委員会設置単位論議、(2)教育事務共同処理の展開過程、(3)地方自治制度全般の広域化政策の展開過程、(4)教育事務の機関再配分問題の四点から分析し、以下の知見を得た。1.戦後の設置単位討議において、既に一部事務組合方式等による広域単位での教育委員会の設置が計画されるが実現せず、昭和27年の市町村段階での全面設置に至る。しかし、この全面設置は、教育委員会の設置基盤である市町村規模の適正問題の解決の上になされたものではない。2.教育事務の共同処理は、この規模の適正問題を基底要因として進められるが、それはまた教育外の分野もそくめた各自治体の側からの共同処理の要請のみならず、全国総合開発計画等のネイションサイドの広域化政策とも密接に関連して行われた。3.この流れの中で成立したいわゆる統合教育委員会は今日ではおよそ20年の歴史を有し、教職員人事、研修指導体制、社会教育等の領域で多くの成果をあげている。また、教育委員会事務の一部が共同処理されている場合でも、それぞれの領域で一定の成果をあげている。しかし、4.この教育事務の共同処理は、市町村相互の連携上の問題(特に、統合教育委員会と各構成団体の首長権限の問題)のみならず、市町村教育委員会と都道府県教育委員会との連携に関わる問題(特に、その出先機関である地方教育事務所との関係調整の問題)をも抱えており、その為、5.教育事務の広域的処理を可能にする事務の機関再配分が、今日の焦眉の課題となっている。なお、以上の研究成果を報告書にまとめ、近く刊行する。
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