研究概要 |
初年度であるのでCO酸化により生成するCO_2の脱離の角度分布については計画通り実験準備が中心であった. 1.一定の脱離角にて結晶の方位角を変化でき, 100Kまで冷却可能な特型結晶保持台の制作は成功した. 2.パラジウム単結晶上のCO及び酸素の共吸着構造の解明は現在進行中. 単結晶到達の遅れのため遅れていた測定を急ピッチで進めている. 3.CO_2生成の動力学解析の測定も進行中. 4.CO_2以外の脱離系での角度分布についても測定をした. (1)アルカリで修飾した貴金属表面からのCOの脱離では, COの会合脱離(O(a)+O(a)→CO(g))の特徴を表わす鋭い角度分布と, CO間の交換反応との良い相関を見い出した. (2)従来測定の困難であった貴金属表面からの窒素の会合脱離(2N(a)→N_2(g))の角度分布測定をルテニウム表面で成功させ, 予想された鋭い角度分布を確認し, 更に著しい共存酸素の効果を見い出した. 脱離fluxの鋭い角度分布を示す脱離系は従来, 特殊なものと考えられていたが, H_2につづき, CO_2, N_2, COでも見い出されたことは表面過程の動力学解析におけるエネルギー分布測定(角度分布は並進エネルギー測定)の役割の重要性を示している. 他の金属表面にも展開すべきと考えられ, 貴金属以外として, ニッケル, コバルト表面でα測定を試みる予定.
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