今年度はパラジウム上の一酸化炭素の酸化で多くの測定を試み、角度分布は結晶方位角依存を示す場合がついに見出された。 1. Pd(111):(1)共吸着構造(低速電子線回折による):酸素及びCOの共吸着では別々の島状構造が現れる。吸着量を増すと酸素格子は圧縮され、3種の反応場(COと酸素の接触場)が生じた。 (2)CO_2生成(昇温脱離法による):上記3種の反応場で生成するCO_2の脱離ピークは異なる温度で現れ、区別が可能である。 (3)角度分布(角度分解型昇温脱離法による):上記3種のCO_2の脱離フラックスの角度分布を結晶方位角を規定した上で測定することに成功した。分布は吸着量が高い反応場程鋭くなった。いずれのCO_2フラックスも方位角依存を示さなかった。 2. Pd(110):(1)共吸着構造:COと酸素の共吸着層の昇温に伴い、酸素格子が現れた。CO格子はCO(a)〓O(a)のときのみ現われ、別々の島状構造は形成されない。 (2)CO_2生成:昇温中のCO_2生成は吸着量を増すと共にピークが5つまでになった。小さい吸着量でのCO_2生成はある一定の吸着量を境として区別できた。 (3)角度分布:上記5つのCO_2の角度分布は高い吸着量で生成する場合程、鋭い角度分布となり、更には結晶表面の金属原子列に平行方向([110]方向)では巾広い分布を、又この原子列に直角方向では鋭い角度分布となった。これは当初の予測と一致する。 3. 地の面:Pd(100)面、stop面での測定は、結晶の不足のために、再現性あるデータを出すまでに至らなかった。
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