研究概要 |
ビス(ジメチルグリオキシマト)CO(II)・塩基-不斉アミン複合錯体触媒系において, 不斉アミンとして光学活性2-キヌクリジンカルボン酸アミドを用いて, N,N´-ジメチルー5-ベンジリデンヒダントリン, N,N´-ジメチルー2,5-ジベンジリデンジケトピペラジンを水素化すると〜82%eeで相当する水素化生成物が得られるので, (1)これ以外の基質, 例えば近年天然から数多く単離されている生理活性環状ペプチドの前駆体を合成し, (2)不斉アミンとして光学活性2-キヌクリジンカルボン酸誘導体を合成しこれらを用いて, 上記触媒系による不斉水素化反応を行い, (3)反応生成物はキラルカラムHPLCで不斉収率を算出する計画を立てた. その結果, (1)では, N-メチルー2,5-ジベンジリデン,及びN-メチルー2-ベンジリデンー5-イソブチリデンジケトピペラジンを合成した. (2)では, R´=OH, R^2=OC_2H_5の合成が出来たが, 目的のR^2=NHCH(CH3)ph(光学活性)は未だ合成出来ていない. (3)では, (1)で合成した基質を水素化した生成物についてChiralcel-OD,-OB^1,-OK(ダイセル工業KK)について検討したところ, Chiralcel-OB^1でエナンチオマーの比較的様分離が観られた. 一方, 今回(1)で合成した基質は, 上述の82%eeを達成した系の溶媒であるベンゼンに溶けず, 他の溶媒を検討した結果アセトニトリルには良く溶け, この溶媒を用いて(82%eeを達成した系で)不斉水素化すると〜70%eeとそれ程大きな不斉収率の低下はなかった. 現在, (1)で新たに合成した基質を用い, (2)で合成した不斉助触媒を使って不斉水素化反応を行い, Chiralcel-OB^1で不斉収率を算出する段階まで到達していないが, 溶媒の問題も解決したので, 従来のR^1=H,R^2=NHCH(CH3)phを用いて不斉水素化反応を検討しながら(2)の新しい助触媒の合成も完成させる予定である.
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