研究概要 |
本研究の目的である海岸砂中間隙に生息する貝形虫の系統発生の考察のために, 本年度は, 当初の研究実施計画にそって以下の点を実施した. 1.北海道内の羅臼, 網走, 紋別, 稚内付近での採集を5月及び9月に行った. 各採集地点で間隙貝形虫が得られ, それらの検鏡用標本作製, スケッチ・分類の作業が進行中である. 2.釧路産Psammocythere属の一新種について, 日本動物学会第58回大会で報告:演題「釧路産海岸砂中間隙貝形虫の一新種について」, 既知種との形態の比較および分布について考察した. 3.釧路産Psammocythere, Microloxoconcha, Microcythereの新種記載の準備が進み, 来年度初め頃には投稿できる状態となっている. また, 北海道その他の採集地点から得られている種類の分類作業を進め, ここまでの研究成果の一部を, 来年度7月英国で開催される第10階貝形虫国際シンポジウムで報告する. 採集された間隙貝形虫の分類作業が進行しなければ, 本研究の目的を十分に果たすことはできないため, 次年度は, この点に力点をおいて実施計画にもとづいて研究を進めることとした.
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