研究課題/領域番号 |
62540601
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
糸魚川 淳二 名古屋大学, 理学部, 教授 (90022566)
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研究分担者 |
氏原 温 名古屋大学, 教養部, 助手 (50193868)
柴田 博 名古屋大学, 教養部, 教授 (50022603)
森 忍 名古屋大学, 理学部, 助手 (00089856)
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キーワード | 古動物地理 / 軟体動物化石 / 化石群集 / 漸新世 / 中新世 / 鮮新世 / 新生代 |
研究概要 |
1.中新世前期・中期の2層準における軟体動物化石群集の比較 中新世前期・中期の2層準の軟体動物化石群集を比較すると、同属でありながら種が異なる対応種とそれぞれの特徴種が認められる。上位層準の特徴種には熱帯系種が含まれ、下位層準と著しい対応を示す。これら2層準の群集を現在の軟体動物群集の地理的分布と対応させてみると下位層準の明世動物群は亜熱帯系、上位は西より黒瀬谷動物群(熱帯系)、門ノ沢動物群(亜熱帯系)、築別動物群(温帯系)となる。中新世中期の、熱帯系群集の北方への移動が、とくに日本海側で著しい事件(イベント)としてとらえられ、日本海誕生と関連して生じた内海環境を示すものである。 2.静岡県掛川地域の鮮新・更新世の軟体動物化石群集の変遷 掛川・小笠層群に含まれる軟体動物化石群集の時間的・空間的分布を整理した。北西と南東における著しい群集の変化、古環境との対応が認められる。これは主に、浅海帯上部から大陸棚斜面に及ぶ古環境の変化を示し、現在の遠州灘の海況に似た状況が認められる。これを基礎にして、各種・各群集の時間的分布をみると、糸魚川(1988)のグレードI、II、IIIの群集変化を示す。 3.軟体動物化石群集の時空分布変化のパターン 1978年以来論じてきたこのテーマをさらに一歩進めるために、古第三紀漸新世〜中新世後期にいたる各地の軟体動物化石群集を比較した。在質・深度・塩分濃度などの環境条件を同一として、4つの群集群に整理し、それぞれの時間的・空間的な分布の違いを調べた。共通種・同属異種の対応種の割合を見ると、時間的にまたは空間的にはなれると、共通種が減少し、同属異種が増加する。これは前述のパターンの、グレードIIを示すもので、一部はグレードIに担当するかもしれない。
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