(目的)土壌中のセルロ-ス分解微生物の検出・分離を容易にするために、そき増殖条件を探ることを目的とした。その一つとして集積培養系を用いて種々の条件下でセルロ-ス分解微生物群の変動を中心に微生物的諸過程を検討した。また、集積培養系からセルロ-ス分解微生物の分離を試みた。 (方法)1〜2mmに風転篩別した土壌を60%WHCの水分条件下で粉末セルロ-スを添加し、27℃で通風培養した。また、この際C/N率を変えた場合、ブドウ糖などが共存した場合のセルロ-ス分解菌の係数に用いた培養から、寒天平板培養によりセルロ-ス分解菌を分離した。 (結果)1.土壌懸濁液系を用いたこれ迄の実験結果と同じように土壌に添加したセルロ-ス量に対応した形で、セルロ-ス分解菌数が増加した。また、その他の細菌数も同じようなパタ-ンを示したが、特にグラム陰性細菌数のそれは際立っていた。その他、炭酸放出や単糖の消長も同様なパタ-ンを示した。しかし、pH変化は土壌懸濁液系のそれに比べてきわめてゆるやかであり、添加量の差による影響はそれ程大きくなかった。2.S/N率を変えた場合、セルロ-テス分解菌数はC/N率を低くすると抑えられたが、その他の細菌数は逆に増加した。また、炭酸放出もC/N率を低くすると増進した。3.ブドウ糖が共存するとセルロ-ス分解菌数は抑えられたが、酵母エキスによって増加された。しかし、その他の細菌数(とくにグラム陰性細菌数)は、両者によって増加された。4.約40条株のセルロ-ス分解菌を分離した。それらのすべては細菌であったが、いくつかの細菌額的性質から判断してそれらは複数種にまたがることが推定された。また、これら細菌株のセルロ-ス分解能は、共存するN源や糖類によって大きく影響を受けた。
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