被害量推定 奈良県下のノウサギによるヒノキ林分への激害地において、樹木のマッピング、被害の程度から3段階に区分し、林分の長径・短径、さらには、5mごと、10mごとの間隔での調査で被害率を検討してみた。被害率がきわめて高かったことから、どの方法をとっても大きな差違はなかった。しかし、この方法はさらに検討されるべきであろう。 被害の形態の区分 ノウサギによるヒノキの食害は主軸切断タイプと剥皮タイプに分けられたが、奈良県では主軸切断タイプが多かった。スギに対するニホンジカ、カモシカの食害は主軸先端および側枝の葉を食べるもので、剥皮は少なかった。 被害木の生育 ノウサギによるヒノキの食害は88%、1年後の回復の状況はほぼ正常なもの36%、著しく樹形の悪いもの23%、枯死したもの18%となり、生育を大きく阻害していた。 樹形の回復 スギに対するニホンジカの食害の場合、主軸が食害されても側枝がこれにかわり、樹高生長に大きな差はなかった。人為的な主軸の切断実験でも、切断長が30cmまでであれば、側枝が伸長し、樹高に大きな影響を与えなかった。食害痕も巻き込みで残らなかたが、材中でこの部分は褐変し、材質としての問題が残りそうであった。
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