研究概要 |
プラスミノーゲン アクチベーター インヒビター(PAI)には2種類が知られており, 一つは血管内皮細胞から放出されて血中に存在するものでPAI-1と名付けられ, もう一つは胎盤より抽出され, マクロファージ/単球系の細胞が合成すると考えられているPAI-2である. 我々は以前血中のt-PA, アクチベーター(PA)活性, インヒビター活性を測定し, 年令と共にt-PAの抗原量は増加し, インヒビター活性も増加した. 一方PA活性は減少しているのでt-PAはインヒビターと複合体(complex)を作っていると考えられる. しかし現在迄の所t-PAとPAI-1のcomplexを測定する方法は発表されていない. 我々はPAIのモノクローナル抗体を用いてcomplexの測定法を開発した. まずシリコン片にPAI-1のモノクロを結合させ, これを血漿とインキュベートする. モノクロはフリーのPAIとcomplexのPAIに結合する. これをβ-ガラクトシダーゼ結合の抗t-PA抗体と反応させるとこれはcomplex上のt-PAとのみ反応するのでもとの血漿中のt-PA・PA-1 complexの量が測定出来る. 次に血漿をt-PAとあらかじめインキュベートして血漿中のフリーのPAIをすべてcomplexに変換しておく. この血漿をPAIに対するモノクロを結合させたシリコンと反応させ, さらにこの上にあるt-PA量を測定するとt-PAを加えた後のcomplex量を測定出来る. これはもともと血漿中にあるt-PA・PAI-1 complexとフリーのPAI-1量の和になる筈であるから, この値からもとのcomplex量を引いたものがフリーのPAI-1量となる. この方法を用いてPAIの血中濃度の年令変化を検討した. PAI-1もt-PA・PAI-1 comdixも年令と共に上昇し, さらにフリーのPAI-1とcomplexとの間には有意の相関があった.
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