研究概要 |
1) 家兎を用いたMOF合併重症感染症モデルの開発-外因性の感染惹起物質(細菌, エンドトキシン)の投与を必要としないモデルとして自家便汁の胆管内注入による化膿性胆管炎モデルを確立した. 雄の白色家兎を用い, 総胆管結紮後に家兎便よりの菌浮遊液0.5ml(一定量の菌を含む)を逆行性に胆道内へ注入し, 経時的に採血し, 凝血学的パラメータとともに臓器障害を判定するためビリルビン・クレラチニン価と病理学的検討をおこなった. このモデルにおいては重症感染症(血糖上昇, 全身血圧の低下, 白血球数減少, 血中エンドトチシン値の上昇)の症候が再現性高く認められる. それとともに, この過凝固状態(hyper-coagulable state)が, 血小板数の低下PT値の低下, APTTの延長, ATIIIとアンティプラスミン活性の低下及びパラコアギュレーションテストの陽性化などより認められる. さらにビリルビン値, クレアチニン値の上昇し併に肝での組織学的変化を認め, 複数の臓器障害を確認した. 2) このモデルにおいてhype-coagulable stateの発症病態とそれがMOF発症に及ぼす影響を検討するために, ヘパリン・MD805・メシル酸がヘキシベートを, 線溶系を抑制するためにトラネキサム酸を投与し比較検討した. その結果, 抗凝固剤投与により, MOFの発症が明らかに抑制されることが確認された. しかし, 線溶系の抑制による悪化は認められなかった. 3) IDn vivoにおける凝固、線溶系活性化の最も鋭敏な指標である。フィブリペプタイドA及びB_BD15-42の家兎における測定法確立のため、両ヘプタイドの精製中である。
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