研究分担者 |
能勢 勝義 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (30189401)
光信 正夫 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (70148667)
山中 若樹 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (90131599)
田中 信孝 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (80122323)
豊坂 昭弘 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (20068498)
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研究概要 |
教室で肝切除した肝細胞癌295例について特に直径3cm以下細小肝癌切除例65例, 2cm以下19例, 1cm以下8例について病理学的に検索し, 鑑別として重要な再生肥大結節, 局所性結節性肥大, 肝線腫例について比較検討した. これら細小肝癌例について病理組織学的に連続切片を作製し, 腫瘍の浸潤態度(腫瘍被膜の有型及び状態, 被膜内浸潤, 被膜外浸潤, 門脈内浸潤, 肝内転移)につき検討を加えた. 細小肝癌は一般に大型のものに比し組織型では高分化癌(Edomondson±又はII型)の率が高い. 細小肝癌では特に2cm以下のもので硬変の低いものでは被膜の不明瞭のものの率が高い傾向にある. 細小肝癌ではAFP値は低い傾向にあり, AFP値の高いものは(1000ng/ml以上)予後不良である. 早期肝癌診断におけるAFPの意義は少ないものと思われる. 一般に大きな肝癌では硬変の程度は軽い傾向にあり, 今後は硬変の軽い小肝癌の発見が必要である. 肝癌切除例中に, 主腫瘍から離れた地区域に正常肝細胞と類似した極めて高分化な微小癌病巣があり, multicentric originと考えられる. 被膜はなく小葉又は偽小葉内に限局し, 核変異は少なくN/C比はやや高い小型細胞の増殖性病変であり, adenomatous hyperplasia等と考えられているが, これこそ肝癌の早期病変と考えられ, 重要な病巣と考えたい. 1cm前後であり, 偶然に発見されることが多く, これのみが主病変としては, 臨床的には現在のところとらえにくい. 微小肝癌での免疫組織学的所見では, AFP, CEA, CA19-9, SCC, フェリチン等の腫瘍マーカーでは殆ど変化をみない.
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