<目的>関節軟骨の修復能に対する変動磁場の影響を調べることを目的として研究を継続している。前回までに刺激場場パラメータとして磁場波形、バースト持続時間を変化させてその影響を調べた。今回我々は波形を非対称三角波に、バースト持続時間を5msに固定し、バーストの繰り返し周波数を変化させて培養関節軟骨細胞の影響を調べた。 <実験材料・方法>白色家兎(4週令雄)の両膝・両肩関節の軟骨を無菌的に採取分離した後、各wellに4×10^4細胞数となるように播種した。この培養関節軟骨細胞を7〜8日目に培養器内に設置した磁場発生装置に挿入し変動磁場刺激を24時間以上加えた。刺激装置は自作のヘルムホルツ型コイルを用い、培養皿に対して垂直方向の変動磁場を与えた。刺激パラメータのうち磁場波形は非対称三角波(立ち上がり180μs、立ち下がり20μs)、バースト持続時間5ms、磁場強度を最大45ガウス平均3ガウスに固定し、バーストの繰り返し周波数を10、15.4、20、40Hzに変化させた。また磁場暴露による発熱を抑制するため刺激群にはファンを設置して送風することによりコントロール群との温度を同一にした。細胞DNA合成能には^3Hチミジンの取り込みにより評価し、基質合成能には^<35>Sのグリコスアミノグリカンへの取り込みにより評価した。 <結果・考察>DNA合成能では周波数20Hz、40Hzで促進傾向を示したが15.4Hz、10Hzでは一定の傾向を認めなかった。またGlycosaminoglycan合成能では10Hz、15.4Hzで促進傾向を示し20Hz、40Hzでは一定の傾向を認めなかった。前回までの結果では波形・バースト持続時間の変化に関わりなく基質合成能の増加が30%程度であったことから、磁場効果の重要因子としてバーストの繰り返し周波数が考えられる。今後も継続して磁場効果因子の検索を進めてゆくとともに、in-viroの実験も考慮してゆくつもりである。
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