研究概要 |
標識化合物の合成は, 6-フルオロドーパに関して検討した. 標識方法は, 原料を〔^<18>F〕アセチルハイポフルオライド(AcO^<18>F)と反応させて芳香環に^<18>Fを導入した後, 保護基を除去し, 続いて生成した異性体を分離精製するという方法を用いた. 標識化に関して, 最初にカテコール部を種々保護した原料とAcO^<18>Fとの反応を検討した. その結果, 無保護の原料を用いた場合, フルオロドーパ以外の不純物が多量に生成することがわかり, また3位, 4位をともにアセチル基で保護した原料を用いた場合, 6-〔^<18>F〕フルオロドーパが主生成物で得られるのが, 低収率であることがわかった. これらの原料を用いる方法は, いずれも低収率である為, 6-フルオロドーパの^<18>F標識化には不適当である. 更に3位をメチル基, 4位をアセチル基で保護した原料を用いた場合, 6-〔^<18>F〕フルオロドーパと2-〔^<18>F〕フルオロドーパがほぼ1:1の比率で生成するが, 収率が良い為, 両者を分離しても供給に十分な量が得られることがわかった. (放射化学的収率(R.Y.);6-F体:6-22%, 2-F体:7-22%)次に副生成物である2-〔^<18>F〕フルオロドーパとの分離条件を種々検討した結果, ラジオ液クロ分取により6-〔^<18>F〕フルオロドーパを放射化学的純度(R.P.)>95%で分離精製することができた. 得られた6-〔^<18>F〕フルオロドーパをマウスに投与し, その体内分布を経時的に検討した結果, 初期時, 小腸へは比較的高く, 心筋, 肝臓へは中程度に集積するが, いずれも時間とともにclearされていくことがわかった. また血中からのクリアランスは早く, 尿中にすみやかに排出された. 現在, カテコール部の3位をメチル基, 4位をアセチノ基で保護した原料を用いて6-〔^<18>F〕フルオロドーパがルーチンに製造され, ポジトロントモグラフ装置(ECAT)を用いた臨床研究に供給されている. (R.Y.:13-20%, R.P.:>99%)
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