研究概要 |
白血球の活性酸素生成酵素(NADPH oxidase)は, その活性基種について諸説があるが, 膜のNADPH oxidaseを可溶化し, 等電点電気泳動より分離したpI5.0分画が, NADPH oxidase固有の諸性質を示すFAD酵素であることを明らかにした. 本年は, このFAD酵素のNADPH及びO_2との反応を明らかにするために, pI5.0分画の大量分離法を確立した. 方法は, 粒状ゲルの調整用平板等電点電気泳動(LKBマルチフォーII)を用いた. FAD酵素の収率を上げるために, 泳動中のゲル内温度を低温(1.5°C)に維持し, そのために低温下でもCMC値の変化しない界面活性剤を用いて, 泳動方法に諸改良を行って分離した. 1)NADPHとの反応のKinetics FAD酸素(pI 5.0)のNADPHに対するKm値を、 cytochrome c peroxidase(CCP)のH_2O_2との複合体(CCP-H_2O_2)の生成活性で測定した。その結果、Km(NAD2DPH)は30±13μMの値が得られた。NADPHの酸化量とHは_2O_2生成量1:1のモル比となり、膜結合のNADPH oxidaseの場合と一致した。本酸素はNADPHとは反応せず、NADPHにNADPHに特異的であり、昨年度の報告と総合すると、NADPHの電子D2と受容部位の酸素であると考えられる。 2)O_2の反応のKinetics FAD酸素(pI 5.0)は、NADPH存在下で、 superoxid dismutase(SOD)非感受性のcytochrome c還元反応を示すので、O^-_2生成活性をこの方法では検討することが出来ない。そのために、O^-_2ラジカルのESRスペクトルを直接測定した。その結果、NADPH酸化反応にとDD1もなって、顕著にO^-_2生成活性を示したので、このFAD酸素はNADPHより2e-受け取り、Oにずつ2e^-渡すdehydrogenase-electron transferase型であることが推定できた(第4回 国際フリ-ラジカル学会 4月13〜19日 京都国際会議場で発表)。
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