研究概要 |
本研究最後の年の本年度は、リコンビナント(re)マウスTNF2,re・ヒトTNFβ,OK-432で誘導される血清因子のI型糖尿病発症抑制効果をNDDマウスを用いてスクリ-ニングした。 1.re・マウスTNFαの効果:re・ヒトTNFαがNODマウス(3,000単位,週2回)やBBラット(5万単位,週2回)膵島炎や糖尿病発症を抑制したので、re・マウスTNFαについても同様の検討を行った。NODマウスの糖尿病はre・マウスTNFα(1,000単位,週2回)によっても発症が抑制され(2/10vs.15/21:P<0.01)、膵島炎も軽快した。BBラットについては、最近仙台コロニ-の糖尿病発症率が低下しているため、発症抑制実験に使えなかった。TNFαによる糖尿病発症抑制機序は現在検討中である。 2.re・ヒトTNFβの効果:TNFβはリンホトキシンとも呼ばれ、TNFαとは遺伝子が同一染色体上に並んでおり、作用も似ている。TNFαが主にマクロファ-ジで産生されるのに対して、TNFβはリンパ球で作られる。re・ヒトTNFβを入手できたので、NODマウスの糖尿病発症抑制効果をスクリ-ニング中である。 3.OK-432で誘導される血清因子による糖尿病発症の抑制:OK-432の0.2mgと0.02mgを3時間間隔で静注した2時間後のNODマウス血清、またはBalb/Cマウス血清をNODマウスに0.3ml ずつ週2回、4週齢から30週齢まで投与した。この血清によって膵島炎や糖尿病発症は有意に抑制された。(3/20VS.15/21;p<0.01)。OK-432血清中には、NODマウスで23単位/ml、Balb/Cマウスで250単位/mlのTNFαが含まれていたが、1L-1、1L-2、IFNrは検出限界以下であった。BRM投与後の血清にもI型糖尿病発症抑制作用あることがわかった。
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