研究課題/領域番号 |
62890008
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 武蔵工業大学 |
研究代表者 |
西野 忠 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (30061485)
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研究分担者 |
真碕 善二郎 佐賀医科大学, 泌尿器科, 教授 (40038716)
久次 武晴 佐賀医科大学, 外科学, 教授 (10037343)
小磯 謙吉 筑波大学, 臨床医学系泌尿器科, 教授 (20010192)
大菅 俊昭 筑波大学, 臨床医学系内科, 教授 (20010481)
岩崎 洋治 筑波大学, 臨床医学系外科, 教授 (30009112)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | 結石 / 溶解剤 / イオン交換 / イオン交換樹脂 / 溶解機構 / Insoluble compound |
研究概要 |
スチレン樹脂を基体とし官能器にスルホン酸基をもつH型強酸性イオン交換樹脂(H-Rと略)は溶解剤として有効な固体酸である。あらかじめ十分水洗した含H-R懸濁水は難溶性無機塩を容易に溶解し放出されたオキソ酸によるpHや比導電率(k)に顕著な変化をもたらすことから、溶解過程が追跡できオキソ酸などの分析から更に詳細な溶解機構を考察することができる。他に一切、無機酸などを用いず溶解効果が大きいことから生体内に発生する結石の溶解に着目し、医学系研究者と工学系研究者との共同研究が開始された。 筑波大学では尿路結石と膵石を対象とし、佐賀医科大学では尿路結石と黒色石を主とする胆石の溶解につきin vitroでの研究と並行してin vivo(動物実験)での基礎研究がなされた。その結果、灌流方法、pH緩衡については更に検討の余地が残されているが溶解効果は立証された。 武蔵工大では放射化分析による結石成分の詳細な検討がなされると同時に結石構成無機塩を供試しH-Rによる溶解機構の検討が行われた。その結果、例えばリン酸カルシウムの溶解ではpH=4.5付近(炭酸水の酸度と類似)で完了すること、膵石系の炭酸カルシウムでは炭酸水素塩の生成を経由して溶解が進行することが判明した。リン酸カルシウムと同様、尿路結石に見られるリン酸アンモニウムマグネシウムは溶解過程で極めて複雑で興味深い反応を示す。結果の詳細は論文として投稿したがH-Rによる“水に溶けにくい物質を水に溶かす"法はこれまで報告されなかった新しい現象を見出すことができる特徴を有する。これらの結果は更に展開し新規な物質分離、溶解法としてドロマイトからマグネシアを得、リン鉱石からリン酸を製出する技術を生み、ポルトランドセメントの凝結機構解明につながる技法に発展しつつある。
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