研究課題
国際学術研究
北海道のミズナラ・モンゴリナラ・カシワ・コナラなどのナラ類が強い遺伝子浸透を経ていることはこれまでの研究で明らかにしてきた。本研究では中国黒龍江省のナラ類について、3地域・9林分・157個体から葉・堅果・殻斗を採集し、18形質の測定をもとに個体間・地域間の形質変異を検討した。標本数は1個体につき葉は10枚,堅果、殻斗は20個である。測定した形質のうち、反復率が高く情報量の多い、鋸歯数(左右合計)・堅果比(長さ/直径)・殻斗比(外径/高さ)の3形質の出現頻度・平均値・標準偏差を林分毎に比較した。なお、反復率は分散分析における個体間分散成分を、それと個体内分散成分との和で割った値で、遺伝率に代るものである。その結果、モンゴリナラを中心とする中国産ナラ類においても、個体間や林分間に形質の違いがあり、地域間の変異も認められた。さらに、カシワ・マンシュウミズナラが東北部に分布すること、形質によっては頻度分布の不連続性や大きなばらつきがあったことから、中国黒龍江省産モンゴリナラも他のナラ類と自然雑種を形成していることが示唆された。本研究では、これらの結果の検定のため、中国黒龍江省および北海道名寄において両国のナラ類種子を交換し、それぞれ産地試験を開始した。
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