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1988 年度 実績報告書

民俗芸能における翁舞の総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 63301008
研究機関大阪大学

研究代表者

天野 文雄  大阪大学, 文学部, 助教授 (90201293)

研究分担者 山口 修  大阪大学, 文学部, 助教授 (20061583)
山路 興造  京都市立芸術大学, 美術学部, 非常勤講師
吉川 周平  徳島文理大学, 文学部, 教授 (00063686)
山崎 正和  大阪大学, 文学部, 教授 (60067577)
谷村 晃  大阪大学, 文学部, 教授 (90079608)
キーワード翁舞 / 奈良豆比古神社 / 東山中 / 車 / 近世初期の能の翁
研究概要

今年度の奈良豆比古神社の翁舞についての調査の結果明らかになったことは主に以下の三点である。
(1)奈良豆比古神社の翁舞には、シテの翁の動作に、能楽五流にはない、極めて特異な所作があること。
(2)未紹介の奈良豆比古神社の宮座資料が発見され、同社の宮座組織とその歴史が、かなりの部分まで解明できる見通しが立ったこと。
(3)翁舞は、奈良豆比古神社のみならず、現在も奈良東山中では数ヶ所の神社で翁舞がおこなわれており、奈良豆比古神社の翁舞を考える上でも看過できないこと。
(3)の知見により、10月から11月にかけて、東山中の翁舞の調査をおこなった。この調査は来年度も継続しておこなわれる予定である。
今年度の調査によって得られた資料は現在分析中であるが、詞章の面では、以下のようなことが明らかとなった。
奈良豆比古神社の翁舞の詞章と、東山中の翁舞の詞章は同系統のもので、いずれも能楽五流の翁の詞章とは系統を異にしている。さらに、来年度調査予定の神戸市車の翁舞(今年度は翁舞行事中止のため調査不能)の詞章も、神戸市の報告書により比較した結果、前二者と同系統のものであることが判明した。これら三者が伝える翁舞の詞章と同系の詞章を伝えるものに、寛永10年刊行の道判本『式三番』がある。この『式三番』の詞章は、現行能楽五流の翁の詞章より、奈良豆比古神社等の系統の翁舞の詞章と共通している。このことは、奈良豆比古神社等の翁舞が、近世初期の翁の形態を伝えているものであることを示している。このことは、現存翁舞の伝播と継承を考える上でも、また、近世初期における翁の様相を考える上でも重要な意味をもっている。今後、より総合的な分析を進めることにより、上記の問題を明らかにする上で重要な知見を得ることができると考えられる。

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公開日: 1990-03-19   更新日: 2016-04-21  

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