研究課題/領域番号 |
63301020
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
矢澤 修次郎 一橋大学, 社会学部, 教授 (20055320)
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研究分担者 |
橋本 敏雄 明治学院大学, 社会学部, 教授 (80062173)
古城 利明 中央大学, 法学部, 教授 (70055185)
吉原 功 明治学院大学, 社会学部, 教授 (60062171)
元島 邦夫 埼玉大学, 教養部, 教授 (20008907)
庄司 興吉 東京大学, 文学部, 教授 (30061203)
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キーワード | 新しい社会運動 / 都市社会運動 / ポストブルジョア市民社会 / 階級構造 / 階級闘争 / 新中間層 / 中心一周辺 / 情報化 |
研究概要 |
1.社会運動論の到達段階を把握することに努め、その課題を達成することにほぼ成功した。とりわけ新しい社会運動論ろ都市社会運動論の解明に力を入れ、それがどのような理論的内実を持っているかを明らかにしえた。C.オッフェの新しい社会運動論、J.コーヘンのそれ、都市社会運動論ではM.カステルの理論がとりわけ注目に値する。 2.新しい社会運動とは、「ポストブルジョア市民社会」の形成をめざす運動のことを言い、都市社会運動とは、資本蓄積の主要舞台である都市における、都市の(経済的、政治的、文化的)構造の変革をめざす運動のことである。都市の構造を変革するためには、生産領域の変革をめざす制度化された労働組合運動と、多様な消費領域の変革を中心とする新しい社会運動、その両者が共に変革される必要がある。したがって、都市社会運動は、新しい社会運動と制度化された既成の古い社会運動を媒介する運動する運動と規定するのが、最も妥当なことではないだろうか。以上の点を理論的に整理、定式化しえたのは大きな成果であった。 3.階級論は、階級構造論と階級闘争論とに大別することができる。階級構造論においては、ホワイトカラー労働者の形成と「新中間層」の形成、この2つのことが問題にされている。また階級闘争論においては、先進社会において人びとが多集団所属をおこなうようになると、利害か階級という線に沿って結集・凝集してくるというよりはむしろ、人種や民族や性や文化といった線によって分断・拡散される傾向にあるので、階級闘争をもその一貫として含み込んだ社会闘争として再把握される必要があることが明らかになった。 4.現代社会における主要対立は、中心部における 「新中間層」 と周辺部の 「旧中間層」 から出てくる 「ポストブルジョア市民社会」 をめざす方向と、ブルジョアジーのヘケモニーを強化する方向との対立である。
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