研究課題/領域番号 |
63301091
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今村 奈良臣 東京大学, 農学部, 教授 (60020525)
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研究分担者 |
吉田 俊幸 農政調査委員会, 国内調査部長
坪井 伸広 農村金融研究会, 主任研究員
酒井 富夫 地域社会計画センター, 研究員
若代 直哉 東京大学, 農学部, 助手 (40011994)
谷口 信和 東京大学, 農学部, 助教授 (80163632)
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キーワード | 農政改革 / 農産物過剰 / ガット / デカップリング / 食料自給率 / 失業率 / 農業生産請負制 / 飼料輸入 |
研究概要 |
国際化時代といわれる今日、各国の農業政策は農産物国際市場への各国の農業の組み込まれ方に応じて、相互依存性が高まっている。しかし、農産物国際市場は過剰を主要局面とするとはいえ、他方では、外貨ポジションと為替レートの不利な国にとっては著しい不足をもまた伴っており、各国が過剰と不足の如何なる局面に組み込まれているかによって、対応する農業製作のあり方も異なってこざるをえない。 西側先進諸国では70年代初頭の世界食料危機への対応として食料増産政策がとられ、農産物自給率の上昇と輸出競争力の強化が計られたが、低経済成長への移行に伴って、食料需要の低迷がみられ、農産物の著しい過剰局面に陥っている。そこでは、農産物価格の維持→農産物過剰→財政負担増大という問題と、財政負担縮小、農産物生産制限、失業率増大という問題を、財政基盤が弱体化し、失業率が上昇するという低経済成長下で解決しなければならないというジレンマが存在している。アメリカやECでは対内的には、生産政策と所得政策とを分離するデカップリングが新しい農業政策の手法として導入されているが、対外的には事実上輸出補助金をつけて農産物輸出競争力の強化が計られており、ガットにおける農産物の国際的な貿易ルールの合意を見るには至っていない。 これに対し、社会主義国では依然として農産物の不足局面にあり、農業生産の増大が主要課題となっている。すでに多くの国では、古典的な飢えの段階は克服されているが、所得水準の上昇に伴い肉や牛乳などの需要が増大する局面に入り、飼料穀物などの著しい不足に見舞われているが、外貨ポジションの劣悪な条件下で、飼料の輸入には困難があり、国内農業の抜本的な再編を通じて、食料供給力の飛躍的な上昇が要請されている。中国やソ連における農政改革の試みもこうした側面で理解しなければならないといえよう。
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