研究課題/領域番号 |
63301091
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今村 奈良臣 東京大学, 農学部, 教授 (60020525)
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研究分担者 |
吉田 俊幸 農政調査委員会, 主任研究員
酒井 富夫 富山大学, 経済学部, 助教授
小田切 徳美 東京大学, 農学部, 助手 (10201998)
若代 直哉 東京大学, 農学部, 講師 (40011994)
谷口 信和 東京大学, 農学部, 助教授 (80163632)
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キーワード | 農政改革 / 農産物貿易の自由化 / 食管制度 / 農業構造政策 / デ・カップリング政策 / 地域分担政策 / 農地利用システム |
研究概要 |
最終年度の本研究は、国際的農政改革の展開のもとでの日本農業の政策的展望に関する分析に重点を置いた。主たる結論は、以下の通りである。 1980年代以降、各国の農業に対する財政負担の増大へ対処の必要性が直接の契機となって、世界の主要諸国に共通して、「農政改革」が展開した。わが国においても87年以降日本型「農政改革」が進行しつつあり。その主な論点は、(1)農産物貿易の自由化問題と国境調整、(2)食管制度と転作政策、(3)農業構造政策、の3点である。 (1)農産物貿易の自由化問題と国境調整について:食料自給率のきわめて低いわが国のような輸入国において、国内農業生産を維持することの重要性に関する認識を、基本的政策哲学におくことが求められる。そのうえで、農産物貿易に関する新ル-ル作りへの努力が必要である。 (2)食管制度と転作政策について:食管制度の現実を直視し、市場メカニズムに部分的に依拠しつつも、現行制度が果たしている積極的機能である価格安定機能、社会政策的機能を維持する管理形態を追求する必要がある。また転作政策には、将来展望をもった地域分担政策を組み入れる必要があろう。 (3)農業構造政策について:わが国特有の分散錯圃という特筆を踏まえたうえで日本的農場制実現をめざすために、農地流動化に関与する諸機能と諸機能の総合化を図る新たな農地利用システムを市町村レベルに創設する必要がある。その上で、単に個別経営の規模拡大や農業生産法人の育成にとどまらず、多様な共同経営、営農集団や生産組織の育成があわせて求められる。
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