研究課題/領域番号 |
63400003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武田 弘 東京大学, 理学部, 教授 (50011523)
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研究分担者 |
増田 彰正 東京大学, 理学部, 教授 (40030788)
森 寛志 東京大学, 理学部, 助手 (30174379)
宮本 正道 東京大学, 教養学部, 講師 (70107944)
留岡 和重 東京大学, 理学部, 助手 (00201658)
田賀井 篤平 東京大学, 理学部, 助教授 (40011738)
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キーワード | エコンドライト / 母天体 / 物質進化 / ユレイライト / ユークライト / 走査型電子顕微鏡 |
研究概要 |
本研究は隕石のなかでもエコンドライトといわれる数種の隕石の広領域研究者による総合的研究で、その母天体を構成している物質を複元し、その形成過程を推定することを目ざしている。これらの隕石母天体は、太陽系初期に原始的物質より溶融と結晶化の過程をへて形成された地殻やマントルを持つ原始的な惑星ともいえる小天体であり、地球型惑星や月などの初期の物質進化を推定する上で重要な情報を提供してくれる。 今年度は初年度であるので、南極産エコンドライトの基礎的鉱物学的研究を行い、隕石母天体構成物質の広領域研究にもっとも適した試料を選出することから着手した。南極産エコンドライトのうち地球の超塩基性岩に相当するユレイライト隕石について、その組織と化学組成変化を岩石顕微鏡、走査型電子顕微鏡、エレクトロンマイクロブローブで試べ衝撃により一部溶融してできた部分の化学組成変化が、ユレイライト形成時の化学組成変化を推定する上に重要な過程であることを見出した。また、ユレイライトとその原材料と考えられている炭素質コンドライトの比較研究を行い、炭素質コンドライトより取り除かれたと思われるAl、Ca、Fe、Sに富む物質が、ユレイライトの炭素質脈に残されていることも発見した。ユークライトに関しては、その母天体の初期に形成されたマグマ大洋の残存物と思われるMgに富むが、比較的はやく冷却された組織を示す隕石を発見した。来年度の広領域的研究のよい試料となろう。 研究のために購入した大型機器である走査型電子顕微鏡は、来年度に分析用検出器が納入されるので、主に組織研究のために使用した。またこの装置を設置し、既存の分析装置と結合するため、部屋および給電、給排水の工事を行ったため、主たる使用はそれ以前に臨時に稼動した時に行った。次年度でEDS検出器を購入し、既設の機器とともに、鉱物的な化学組成変化を二次元画像処理により研究できる予定である。
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