研究課題/領域番号 |
63410001
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研究機関 | 東京国立文化財研究所 |
研究代表者 |
関口 正之 東京国立文化財研究所, 美術部, 部長 (60000452)
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研究分担者 |
鶴田 武良 東京国立文化財研究所, 情報資料部, 部長 (60000460)
米倉 迪夫 東京国立文化財研究所, 情報資料部, 室長 (70099927)
三宅 久雄 東京国立文化財研究所, 美術部, 室長 (10174145)
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キーワード | モチ-フ / テキストと表現 / 高僧伝絵 / 扇面 / 肖像画 / 風景画 / 近代水墨画 |
研究概要 |
本年度は、モチ-フ研究のうちその典拠の問題に注目し、作品に即した具体的検討を三つの研究班によって試みた。 1.仏教美術研究を主とする古代中世第一班は、菩薩像の着衣形式、十一面観音・如意輪観音の表現と経典の関係に関する研究については研究資料の不足を補うため奈良法華寺、同普門院、同東大寺、京都平等寺、三重瀬古区、岡山明王寺、島根鰐渕寺、福岡長谷寺、同如意輪寺、福島大蔵寺等の諸像を調査した。仏伝図表現に関しては香川極楽寺の仏涅槃図を調査するとともに仏涅槃図約40点に描かれたモチ-フを検討した。それにより、以前に調査した作品についても報告をまとめることができた。2.中世絵画・工芸研究を主とする古代中世第二班は、高僧伝絵におけるテキストと表現の関係を検討するために岡山県立博物館の伝法絵を、また肖像画の図様の伝播・変容を検討するため佐賀万歳寺の頂相二幅をそれぞれ調査し資料の補充につとめた。さらに扇面画の存在に着目し根津美術館蔵扇面画巻を調査するとともに文献資料により室町時代における扇面の制作工房・値段・用途などを窺わせる部分の収集につとめた。3.近世以降の美術を対象とする近世近代班では、近世絵画における古典モチ-フの典拠について岩佐又兵衛関係の作品を検討することにより追求した。近代美術に関しては近代絵画史における歴史画・構想画研究の基礎的研究として久米桂一郎の在仏時代を研究し、また西洋美術との接触によって新たに登場する風景画につき黒田清輝の作品を中心に調査し、近代の主題として注目された光線画についても検討を加えた。また、近代日本画については画題・技法のすりかえの問題を近代水墨画を対象として検討を加え、いずれもその成果の一部を発表した。
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