研究課題/領域番号 |
63420001
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
心理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
糸魚川 直祐 大阪大学, 人間科学部, 教授 (90027962)
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研究分担者 |
中道 正之 大阪大学, 人間科学部, 助手 (60183886)
吉田 敦也 大阪大学, 人間科学部, 助手 (50191573)
南 徹弘 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (40030043)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | ニホンザル / ストレス / 母親行動 / 行動発達 |
研究概要 |
妊娠、出産、子育ての過程において、他個体との関わりを通して雌が経験するストレスを母性ストレスと定義し、自然場面及び飼育場面のニホンザルを対象として、母ザルの行動と子ザルの行動発達とに及ぼす母性ストレスの影響を検討した。 〔1〕自然場面での行動観察:妊娠後期から出産後2.3カ月までの期間に雌の行動観察を行い、出産前と出産後の比較を行った。休息場面では、出産前に比べて、出産後では、雌の活動性が減少し、近くにいる他個体との数が多いにもかかわらず、身体をびくっと動かし驚くような様子をすることが少なくなった。摂食場面でも、出産前に比べて、出産後は餌場を動き回ったり、回りを見回したりする行動が少なくなった。これらのことは、出産し、子育てをしている雌が、出産前に比べて、より多くのストレスに曝されているわけではないことを示唆している。また、初産雌が経産雌に比べてより強いストレスに曝されているとは言えないことも、行動の比較から明らかになった。 〔2〕母子共生飼育場面:母子だけの飼育はそれ自体で母ザルにとってはストレスである。このストレスは出産後3、4カ月頃までの母子関係には顕在化しなかった。しかし、集団で生活している子ザルなら母ザルから離れて、他個体と活発に関わる5カ月齢頃から、母ザルに檻の中を繰り返し回るなどの行動が生じたことから、母子飼育の長期化が母ザルにストレスとなることが示唆された。 〔3〕妊娠中に捕獲されて、飼育下で出産、子育てを行う母ザルは慢性的なストレスに曝されていることが示唆された。
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