養子免疫療法の臨床応用に向けて、まず、自己癌に特異性の高いeffector細胞を大量に準備する必要がある。Haemoretics V50フェレーシスシステムを用いてLeukapheresisを行い大量の未梢血リンパ球を得ており、マイトマイシンC処理した自己癌と未梢血リンパ球を3日間混合培養し、その後rILー2を用いて自己癌に対して特異性の高いATIAK(autologous tumor and lymphokine activated killer)細胞を誘導している。もう一つの問題点は、このeffector細胞をいかにしてtargerである腫瘍組織に到達させるかである。上顎癌をモデルにしてIn-oxineで標識したeffector細胞を直接栄養動脈である浅側頭動脈に動注すると、腫瘍局所である上顎に十分のeffector細胞の集積が認められた。4例の新鮮上顎癌症例にATLAK細胞の動注療法を行ったところ、いずれの症例においても臨床的(視診、CT所見)および病理組織学的に著しい抗腫瘍効果を認めた。 しかしながら、自己癌はすべての症例から常に充分量得られるとはかぎらずATLAK療法には限界がある。そこで、自己癌の代わりに同種培養癌細胞を用いる方法を検討した。Invitroにおけるデータで、同種培養癌細胞刺激によって誘導されるAllo-TLAK細胞は、ATLAK細胞よりやや弱いものの自己癌に対して十分killing activityが誘導されることが確認された。Allo-TLAK療法を9例に施行し5例にATLAK療法と同様な抗腫瘍効果を得た。副作用としては発熱や未梢血中好酸球増多を認めたが、これは併用するrIL-2によるものと思われる。ATLAKあるいはAllo-TLAK細胞の動注法は養子免疫療法を行う上で一つの有用な方法であると思われる。
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