研究概要 |
頭頚部悪性腫瘍の治療上の問題点の一つに遠隔転移ことに肺転移がある。原発巣、頚部リンパ節転移は制御されたにもかかわらず肺転移をきたした症例に対しては現在のところ有効な治療法はないのが現状である。Interleukin-2(IL-2)を用いて活性化されたリンパ球(LAK細胞)を静脈内に投与すると、先ず肺に強い集積がみられ、肺・胸に移行することが観察されている。我々は、マイトマイシンC処理同種培養癌細胞にて感作後、rIL-2で活性化誘導されるAllo-TLAK(allogeneic tumor and lymphokine activated killer)細胞を肺転移をきたした5例(原発:下咽頭、顎下腺、中咽頭、喉頭、舌)に対して点滴静注法にて投与し、肺転移巣に対する効果を検討した。下咽頭原発症例では1.27×10^9個のAllo-TLAK細胞の移入にてPRの効果が得られたが、顎下腺原発症例では、2.46×10^9個の移入を行ったが効果は得られなかった(NC)。一方、中咽頭、喉頭、舌原発症例では、CDDP,PEPとの併用(chemo-immunotherapy)でそれぞれ1.21×10^9個、4.5×10^8個、1.35×10^9個のAllo-TLAK細胞を移入し、中咽頭、喉頭原発症例ではPR、舌原発症例ではMRの効果を認めた。 原発癌あるいは肺転移症例に対し、ATLAK(autologous tumor and lymphokine activated killer)あるいはAllo-TLAK細胞の移入により、抗腫瘍効果が確認されたことから、今後癌の集学的治療を考慮する上で、免疫療法を積極的に取り入れた治療法を手がけたい。具体的には前述のchemo-immunotherapy,Immuno-radiation therapy等を考えている。
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