研究概要 |
自己癌あるいは培養同種癌細胞で感作(MLTC:mixed lymphocyte tumor cell culture)後、recombinant interleukinー2(rILー2)で活性化、誘導されるATLAK(autologous tumor and lymphokine activated killer)細胞、AlloTLAK(allogeneic tumor and lymphokine activated killer)細胞を用いて養子免疫療法を施行することにより、明らかな抗腫瘍効果を認めたことを報告した。しかしながら、免疫療法単独で癌を完全に消滅させることは難しく、癌の集学的治療の一環として免疫療法を積極的に取り込れた治療法の確立が必要と思われる。我々は化学療法あるいは放射線照射との併用について検討を加えた。 化学療法との併用は、フエレ-シスシステムによりリンパ球を採取後、試験管内でキラ-細胞を誘導中に化学療法を先行させ、その後活性化したリンパ球を移入する方法(chemoーimmuno therapy)であり、現在までに新鮮癌一次症例4例(上顎3例,硬口蓋1例)と再発二次症例1例(中咽頭)であり、CR1例,PR2例,MR2例の効果を認めている。 放射線照射との併用は、まず免疫療法を先行させ、その後放射線照射を追加する(immunoーradiation therapy)方法であり、現在までに新鮮癌一次症例5例(上顎2例,喉頭2例,下咽頭1例)に施行してCR3例,PR2例の効果を認めた。いずれも放射線単独療法と比較して少量のdoseで著しい抗腫瘍効果を認めており、リンパ球浸潤の多い腫瘍組織程、放射線照射療法の効果が大きいという臨床デ-タを裏付けする結果と考えられる。 今後、臨床効果をより高める目的で、in vitroの系で至適薬剤濃度の検討を進めてゆきたいと考えている。
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