研究課題
本研究は、患者の口腔内に標点となる小型のトランス・デューサを設置し、術者の作業領域には障害となるようなものは何も設置しない6自由度顎運動測定器を開発すると共に、顎関節、咀嚼筋および咬合接触など、顎機能を総合的に評価できる診断システムの開発を行っている。本年度は、プロトタイプの口腔内6自由度顎運動測定器を製作するにあたり、研究環境の整備ならびに基礎的な実験を実施し、以下に示す成果を得たので報告する。1. 研究環境の整備は、資材の発注、搬入、据え付けならびに現有機器との接続を、ほぼ予定どおり実施できた。しかし、大容量生体データ記憶装置は、容量的には十分であるが、転送速度が遅いため改良しなければならない。2. 小型模型および有線による基礎的研究は、各機能別に試作中である。3. 6自由度顎運動測定器のCalibration方法の開発は、CNC3次元測定器を用いた場合、測定圧およびプロープ先端補正等の問題を解決しなければならない。また、6軸変位校正器を用いた場合、空間補正法を考案しなければならない。4. 咬合接触、歯、歯列、顎関節、顎運動の座標系の高精度な重ね合わせ方法の開発は、研究成果の一部を日本補綴歯科学会で報告した。5. 顎関節、上下歯列を含む立体としての下顎運動の立体表示の開発は、標本より得られた3次元データ間の立体的補間表示方法を考案中である。6. 口腔内へのトランスデューサ設置に関する基礎的研究は、カプセルの大きさ、形状および設置部位のデータを収集中である。7. 総合的な顎機能診断システム開発における基礎資料としての各種顎機能データの収集と解析は進行中であり、研究成果の一部を日本補綴歯科学会ならびに日本ME学会等で報告した。
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