研究課題/領域番号 |
63450027
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
石原 邦雄 東京都立大学, 人文学部, 教授 (00106212)
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研究分担者 |
江上 渉 東京都立大学, 人文学部, 助手 (50213533)
小林 良二 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (10137010)
窪田 暁子 東洋大学, 文学部, 教授 (50085924)
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キーワード | 火山噴火災害 / 生活再建過程 / コミュニティ |
研究概要 |
前年度末(2月)に実施した第2次住民一斉調査のデ-タ分析を中心に取り組み、一応のまとめを「三宅島阿古地区生活再建第2次調査結果報告」と題する小冊子として印刷し、対象地帯の全戸および三宅村の関係者に配布した。 昭和58年10月の大噴火から5年5カ月を経た第2次調査時点で、生活の各領域は大多数の世帯で既に「落ち着きをとり戻した」と感じられているが、仕事の面、またとりわけ家計の面においてなお問題を残しているとする世帯が1割以上みられる。これは溶岩による住宅埋没世帯でその傾向が強い。こうした結果は、災害の影響が長期にわたることを跡づけるという本研究の課題の重要性を裏づけるものである。また、生活再建の順調さについて判断を問う質問を第1次調査(噴火1年9カ月後)と同じ文言で再調査したところ、世帯のレベルでの再建が順調であるとする回答は着実に増加しているが、地域社会のレベルでの生活再建については、逆に前回よりも順調だとする割合が低下している点が注目される。第1次調査は復興事業の最盛期で活況を呈した頃であったが、災害をきっかけに生じた米軍訓練場を兼ねた空港建設問題がその後も未解決のまま尾を引き、地域内部に対立を残していることが、こうした反応の要因になっていると考えられる。行政による多大の資金投入によって防災住宅集団移転事業をはじめとする復興事業は目ざましい成果を上げたといえるが、災害の影響は、コミュニティの再編成という長期的な観点から捉え続けることの必要を改めて知らされる結果である。 こうした世帯調査結果からのまとめと合わせて、自治会長をはじめ地域のリ-ダ-層などへのインタビュ-による情報も採集することにより、地域社会レベルの生活再建の過程と問題点についてもまとめつつある。
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