研究課題
高エネルギー実験でのデータ収集システムにとって、大量データの収集には、高速のデータ転送を可能にする方法よりも、事象の選択をより厳密に行い不必要な事象データを採らない事が重要である。このデータ収集の段階で、リアルタイムに事象データを超高速で解析し、事象の選別を行うために、プロセッサー・アレイを応用したシステムを開発している。今年度には、プロセッサー・アレイの基本的性能の評価と各要素マイクロプロセッサー内で走らせるプログラムのシュミレーションを大型計算機上で行い、必要なプロセッサー・アレイの大きさの推定を行った。アレイの要素プロセッサーとしては、英国INMOS社のトランスピューターT800を選定した。8個のT800を2次元格子形に並べ、相互にT800のもつ、4つのシリアルポートを用いて接続したシステムで、データの分配、各CPUでの演算及びその結果の転送などのテストを行った。これによると、データの転送方法、T800同志の接続の仕方によって性能が大きく左右されることがわかった。更に、各T800に使う補助メモリーがアクセス時間の遅いDRAMでは、充分な処理能力が発揮されない事から、速いアクセスのSRAMに変更した。一方、解析ソフトウェアのシュミレーションから、解析に要する時間は、T800の20倍の能力をもつFACOM M780上で約20ミリ秒かかることから、解析処理を5ミリ秒以下にするには、このT800を80台以上を並列で動かさなければならないことがわかった。今年度の開発研究の結果をもとに、来年度には、全体設計が行え、可能なかぎり多数のT800を用いて、初期の目標の性能をもつシステムを作り、評価試験を行う予定である。尚、平成元年3月に、「次世代データ収集処理に関する研究会」を主催し、約100名の参加者により、本研究課題を含めて、活発な討論が行われた。
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