研究課題/領域番号 |
63460027
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小川 信二 東京大学, 物性研究所, 教授 (90160754)
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研究分担者 |
秋元 彦太 東京大学, 物性研究所, 助手 (60202545)
福山 寛 東京大学, 物性研究所, 助手 (00181298)
石本 英彦 東京大学, 物性研究所, 助教授 (60044773)
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キーワード | 超低温 / 量子固体 / 零点振動 / 固体ヘリウム / 交換相互作用 |
研究概要 |
本年度は大型核冷凍システムの製作及び冷却テストを行った。この冷凍システムは核断熱冷凍部として高純度調(抵抗比約3200)300モル(約20Kg)から成る世界最大級のもので、試料部の静磁場が零のときに55μK、磁場6Τの場合でも約300μKの温度を得ることができた。このシステムに定積圧力セル、核磁気共鳴用セルを装備し、高密度の体芯立法固体ヘリウム3の冷却実験を行っている。今迄にモル体積22.4cm^3/モルの試料について磁場7Τ下で約400μK迄冷却することに成功し、定積圧力の温度変化を測定することができた。磁場7Τと3.3Τでの圧力の温度依存性から、この試料に関しては高磁場秩序相と常磁性相の境界をきめる上部臨界磁場が2つの磁場値の中間にあることが結論された。より正確な値を決めるためには、十分低い温度で磁場を変化させて定積圧力の測定を行うことがよいが、磁場掃引のさい圧力セルにに偽信号があらわれることが見つかったので、これを除去するための改良作業を現在行っている。上部臨界磁場が正確性格に求まれば、そこでの定積圧力の絶対値と高温での定積圧力の温度変化・磁場効果と組み合わせて、固体ヘリウム3中で競合している2体、3体、4体の直接交換相互作用に関して実験的にパラメータ値を決めることが可能になる。一方低磁場での秩序相から常磁性相への転移の次数を明らかにする目的で融解圧力の測定も行っている。転移の次数については1次と2次の2つの説があり未だ結着していない。我々の融解圧の磁場変化の実験結果は2次転移を支持しているが、さらにNMRの測定を行って確実な結論を得たいと考えている。これらに加え超流動ヘリウム3のA-B転移温度の磁場変化の測定も行った。1mK以上でのデータが得られたが圧力測定だけでは検出感度が不十分であり1mK以下のデータを得るためにもNMR検出が必要なことが明らかになった。
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