研究課題/領域番号 |
63460039
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大中 康譽 東京大学, 地震研究所, 助教授 (00012956)
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研究分担者 |
山下 輝夫 東京大学, 地震研究所, 助教授 (10114696)
嶋本 利彦 東京大学, 地震研究所, 助教授 (20112170)
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キーワード | 構成則 / 破壊核形成 / 動的破壊伝播 / 脆性 / 準延性 / 破壊エネルギー / 臨界変位 / 破壊応力降下量 |
研究概要 |
ディートリック-ルイナ型の構成則は脆性領域においても不十分で、高すべり速度領域におけるデータを定量的に説明できない。高すべり速度領域における構成則は、動的破壊 (地震) 過程を説明する上で重要である。高分解能計測機器を駆使した実験から得られた精密データをもとに、動物破壊伝播過程を定量的に説明しうるモデル及び構成関係式を提唱した。本構成関係式は、動的破壊伝播領域における応力、すべり速度、加速度、破損時間他の基本的関係を定量的に説明する。更に、脆性破壊といえども、動的破壊の開始と伝播に先行して準静的な破壊核形成過程の存在することを、実験的に初めて明瞭に示した。破壊核形成から動的伝播に至る遷移領域は、破壊エネルギー、臨界すべり変位量、破損応力降下量などの物理量が破壊核形成点で極小値をとり、破壊の進行と共に常に増大するという事実により特徴づけられる。破壊が動的に定常伝播する領域では上述のパラメタの不均一分布は認められない。数値実験によれば、破壊エネルギー、臨界変位量、破損応力降下量などが断層面上に異なる大きさで不均一に分布すれば、確かにその不均一分布の領域で破壊核が形成される。特に臨界変位の不均一性が破壊核形成のための不可欠条件であることが数値実験により示された。以上本年度の研究により、破壊核形成条件が解明されたが、我々の目指す構成則は、このような重要な新事実を満足に説明するものでなければならない。準脆性、準延性領域における適用性が保証されるような、より一般性を有する構成則を確立するためには、念入りな高温下における本格的実験が不可欠である。このため加熱炉の設計、炉内を構成するセラミックブロックの製作を本年度ほぼ完了した。来年度は、温度制御装置を設備し、高温下での実験をすすめる予定である。なお、岩石レオロジー実験の成果に基づきテクトニクスを論じた研究も平行して進めた(裏面研究発表欄参照)。
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