研究概要 |
1.体液中のカロチノイド結合タンパク質の構造と機能の解析:体液からカロチノイド結合タンパク質(CBP)の分離精製法はすでに確立しているがより簡単に分離する方法を確立した。精製CBPは脂質と糖を含む分子量600KDの糖脂質蛋白質であった。CBPは223KDのH鎖と76KDのL鎖の各々1つのサブユニットからなること、phopholipidとcholesterol,di(tri)glyceride,carotinoidの脂質成分を含むことを明らかにした。抗CBP抗体をnativeCBP,H鎖およびL鎖と反応させたところ、nativeCBPおよびH鎖とは強く反応したが、L鎖とは弱く反応した。しかしながら、HおよびL鎖に反応する抗体が得られたことは今後の研究を展開する上で大きな成果であった。今後CBPの構造をより詳細に調べると共に機能を解析する予定である。 2.カロチノイド結合タンパク質のmRNAの同定法と分離法:抗CBP抗体を用いてCBPの産生部位を調べたところ、中腸組織で合成されている可能性が示唆された。そこでinvivoでCBP合成を調べたところ、中腸組織で合成されることが明らかとなった。次に中腸組織からCBPmRNAの分離を試みた。5令3日目幼虫の中腸組織からRNAをSDS-phenol法で抽出し、oligodTカラムでpolyARNAを分離した。このpolyARNAを無細胞蛋白質翻訳系で蛋白合成を行い、CBP合成をSDS-PAGE,オートラジオグラフで調べた結果、CBPのH鎖の位置に極めて薄いがバンドが認められた。しかしながらL鎖にはバンドが認められなかった。これは抗体とL鎖との反応が弱いために、合成されていても検出出来なかったものと考えられる。L鎖を検出するためには特異な抗体が必要であるので、現在L鎖並びにH鎖に対する力価の高い抗体を作成中である。またpolyARNAにCBPmRNAが存在したことから、このmRNAの精製分離を行い、cDNAを作る予定である。
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