研究課題/領域番号 |
63480195
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
猿田 享男 慶應義塾大学, 医学部・内科, 教授 (70051571)
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研究分担者 |
竹中 恒夫 慶應義塾大学, 医学部・内科, 助手 (90179656)
今福 俊夫 慶應義塾大学, 医学部・内科, 助手 (40160056)
鈴木 洋通 慶應義塾大学, 医学部・内科, 講師 (80129494)
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キーワード | 本態性高血圧 / Na利尿因子 / レニン・アンジオテンシン系 / カリクレイン / ド-パミン / Na^+,K^+ーATPase阻害因子 |
研究概要 |
本態性高血圧(EH)の発症には腎からのNa・水排泄障害がきわめて重要な役割を果しており、交感神経系やレニン・アンジオテンシン(RーA)系の活性亢進により腎血行動態が障害されてNa・水排泄が障害され、その結果として高血圧をきたしている場合と、このような因子の活性亢進は明らかでなく、Na・水利尿を促進させるように働く諸因子の何らかの障害のためにNa・水貯留が生じ、高血圧を生じてくる場合とがある。前者の場合に関しては、初年度および昨年度にかなりの研究を行い、本態性高血圧の発症初期と考えられるものでは同年令の健常人に比し、交感神経系およびRーA系の活性亢進のあるものが多く、このようなものではアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の投与によりRーA系の活性を抑制すると、Na・水排泄障害が改善され高血圧の発症が抑制されることを明らかにした。このような因子に基づくと考えられる本態性高血圧患者のほか、RーA系や交感神経系の活性が明らかに低下し、Na・水排泄の促進因子の障害によりNa・水貯留をきたしていると考えられるものも明らかに存在する。今回の検討でその頻度は全本態性高血圧患者の20〜30%と考えられた。その原因として腎カリクレインやプロスタグランジンE_2やI_2の産生低下、腎におけるド-パミンの産生低下およびNa^+ーK^+ATPase阻害因子の産生亢進等が考えられ、それらの因子の関与度を検討するとともに、未だ分離同定されていないNa^+,K^+ーATPase阻害因子の分離同定を試みた。低レニンを呈する本態性高血圧患者の中には腎カリクレイン、プロスタグランジン、ド-パミンの産生低下が明らかなものがかなりあり、そのようなものではその産生低下が高血圧の発症に関与している可能性がつよいと考えられた。それ以外のものの高血圧の発症機構は明らかにできず、Na^+,K^+ーATPase阻害因子の増加は一部の症例でみられたが、未だ純化しきれず、その増加の意義はなお検討中である。
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