研究課題/領域番号 |
63480396
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大庭 紀雄 鹿児島大学, 医学部, 教授 (50010070)
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研究分担者 |
鵜木 一彦 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (60193926)
内匠 勝秀 鹿児島大学, 医学部, 助手 (20154958)
伊佐敷 誠 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (20145494)
鮫島 宗文 鹿児島大学, 医学部, 助手 (80041333)
上原 文行 鹿児島大学, 医学部附属病院, 講師 (30168653)
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キーワード | ミトコンドリア異常 / 呼吸鎖酵素 / 網膜 / 外眼筋 / チトクロームC酸化酵素 / モノ クローナル抗体 / 網膜色素変性症 |
研究概要 |
眼科領域におけるミトコンドリア異常の問題を検討するために、いくつかの基礎的および臨床的検討を行なった。今年度において得られた研究成果と今後の問題を具体的に記す。 1.網膜のミトコンドリア酵素活性の測定:サル眼網膜からミトコンドリアを抽出し、呼吸鎖酵素群 (とくにNADH cytochrome c reductase,Succinate cytochrome c reductase,cytochrome c oxydase) について酵素活性の測定を試みた。満足すべき精度と再現性をもつ測 定系を確立することに成功した。サル眼網膜の後極部、中間部、周辺部で比較すると、黄斑 部を含む後極部において組織タンパク量当たりの活性が最も高いことが判明した。この所見 のもつ意義は明らかではないが、臨床的なミトコンドリア網膜症の発生部位との関連を解明 する基礎的知見を提供するものと考えられる。 2.呼吸鎖酵素cytochrome c oxidaseに対するモノクローナル抗 体の作成:新しい抗体の作成にはじめて成功した。cytochrome c oxida seの活性局在を免疫組織化学的に調べ、サル網膜において視細胞内節および神経線維層に 豊富な活性の存在することを証明した。この方法によって光学顕微鏡レベルでミトコンドリ ア酵素の局在を求めることが可能になったから、今後の臨床事例への応用範囲は広いと思わ れる。 3.臨床症例におけるミトコンドリア異常の検索:筋緊張性ジストロフィおよびミトコ ンドリア脳筋症における外眼筋のミトコンドリアを組織化学的、電子顕微鏡的および生化学 的に検索した。ミトコンドリア異常を外眼筋においてはじめて証明することができた。とく に、これらの疾患のなかに呼吸鎖酵素活性の全般的低下を示す事例がみられたことは新知見 である。なお、網膜色素変性症の外眼筋における同様の検索結果には異常がみられなかった 。
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