研究課題/領域番号 |
63480396
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大庭 紀雄 鹿児島大学, 医学部, 教授 (50010070)
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研究分担者 |
鵜木 一彦 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (60193926)
伊佐敷 靖 鹿児島大学, 医学部, 助手 (70168160)
鮫島 宗文 鹿児島大学, 医学部, 助手 (80041333)
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キーワード | ミトコンドリア / 眼疾患 / 網膜変性 / DNA / イデベノン |
研究概要 |
眼科領域におけるミトコンドリア異常について基礎的および臨床的に研究してきた。今年度は臨床面における応用を中心課題として研究をすすめ、以下に要約する成果をえた。 1.ミトコンドリア異常DNAの検討:臨床試料を用いてmtDNAの検索を可能にするために実験装置の整備と技術習得に努めた結果、さまざまな試料でDNAの調整とSouthern blot解析が可能になった。最初に、レ-ベル遺伝性視神経萎縮を検討した。この疾病は細胞質遺伝病であり、最近mtDNAの11778番目のコドンのA→G変異が報告された。患者および家族の骨格筋生検試料および末梢血を試料として適当なプライマ-を用いて問題領域を含むmtDNA領域をPCR増幅した。これを制限酵素SfaNIで切断すると健康者では2個の断片に切断されたが、罹患者とキャリアでは点突然変異のために切断がおこらなかった。一方、制限酵素MaeIIIを用いると健康者では切断されず、罹患者とキャリアでは2個に切断された。この疾病における11778変異の検出にはSfaNI切断法が広く用いられているが、falseーpositiveの結果が生じる心配がある。今回の方法であるMaeIII切断を併用する方法がmtDNA診断の確実性を増すのに有用であろう。KearnsーSayre症候群、慢性進行性外眼筋麻痺の症例の骨格筋生検試料のmtDNAに欠失が確認された。全身異常を合併しない網膜色素変性症ではこのような所見は認められず、もし存在すれば点突然変異が示唆された。 2.網膜色素変性症に対するイデベノンの臨床効果:10例にイデベノンを3〜12か月投与し、中心部視野機能の推移をオクトパス視野計によって経時的に検索した。その結果、6か月以上投与すると軽度ながら視野感度が改善する傾向が認められた。
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