若年性歯周炎の病原菌であるActinobacills actinomycetemcomitansやその関連細菌を培養し、全菌体を得た。これらの全菌法から温フェノール水法、オートクレイブ法、リゾチーム法、酸抽出法などにより粗特異抗原を抽出した。A.actinomycetemcomitansに特異的なウサギ抗血清を用いたゲル内沈降法により、これらの抽出物について比較検討したところ、オートクレイブ法がもっとも特異的で効率的な抽出法であることが明らかになった。そこで、A.actinomycetemcomitansY4株8血清型b)の全菌体より、オートクレイブ法により特異抗原を抽出し、イオンクロマトグラフィー法とゲル濾過法により精製した。精製抗原の組成をガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィー法などにより調べたところ、ほぼ同量のラムノースとフコースからなっていた。ついで、その化学構造をメチル化、スミス分解、GLC-Ms、^<13>C-NMRなどにより決定したところ、本抗原は→3)-α-D-Fucp-(1→2)-β-L-Rhap-(1→という繰り返し構造を有していることが明らかになった。 ついで、Y_4株全菌体で免疫したBALB/Cマウスのリンパ球とミエローマ細胞を融合後、クローン化し、29種類のモノクローナル抗体を作製した。このうち、8種類が上記の構造を有する血清型特異抗原、3種類がリポ多糖体、その他がタンパク質抗原を認識していた。今後、さらにモノクローナルの種類を追加するとともに、これらの抗体を用いた歯周病細菌の開発を進める予定である。
|