歯周病細菌の1つであるActinobacillus actinomycetemcomitansのa型とc型の血清型多糖抗原の化学構造を決定した。すなわち、A.actinomycetemcomitans ATCC 29523株(a型)と9710株(c型)の全菌体からオ-トクレ-ブ法により粗抗原を抽出した。同標品について、イオン交換クロマトグラフィ-とゲル濾過で精製を行った。精製抗原の化学構造をメチル化、ガスクロマトグラフィ-・質量分析法、^<13>C-NMR、^1H-NMR法などによって解析した。その結果、a型多糖抗原は-3)-6-deoxy-α-L-Talp-(1-2)-6-deoxy-α-L-Talp-(1-、c型多糖抗原は-3)-6-deoxy-α-L-Talp-(1-2)-6-deoxy-α-L-Talp-(1-の繰り返し構造をもつことが明らかになった。 前年度に調製したb型多糖抗原に特異的なモノクロ-ナル抗体(mAbS5)とリポ多糖に特異的なモノクロ-ナル抗体(mAbL2)をラテックス粒子に吸着させたあと、歯周病細菌の全菌体や菌体抽出物と反応させた。mAbL2を吸着したラテックス粒子は、全ての血清型のA.actinomycetemcomitansの全菌体や培養上清と特異的に凝集を生じた。mAbS5を吸着したラテックス粒子は、b型の血清型のA.actinomycetemcomitans全菌体や培養上清およびBacteroides gingivalisの全菌体と凝集を生じた。しかし、B.gingivalisとの凝集は菌体を加熱(100℃、3分間)やトリプシン処理すると消失した。 以上の結果より、本研究で確立したラテックス凝集試験法は、A.actinomycetemcomitansの同定や血清型の判定に有用であると考えられる。
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