研究概要 |
歯周病細菌の1つであるActinobacillus actinomycetemcomitansの血清型多糖抗原の化学構造を決定した。各血清型代表株の全菌体からオ-トクレ-ブ法により粗抗原を抽出した。同標品について、イオン交換クロマトグラフィ-とゲル濾過法で精製した。精製抗原の化学構造をメチル化、ガスクロマトグラフィ-・質量分析法、^<13>C-NMR、^1H-NMRなどによって解析した。a型多糖抗原は-3)-6-deoxy-α-D-Talp-(1-2)-6-deoxy-α-D-Talp-(1-,b型多糖抗原は-3)α-D-Fucp-(1-2)β-L-Rhap-(1-,C型多糖抗原は-3)-6-deoxy-α-L-Talp-(1-2)-6-deoxy-α-L-Talp-(-の繰り返し構造を持つと考えられた。 ついで、A.actinomycetemcomitans Y4株全菌体で免疫したBALB/Cマウスの脾細胞を細胞融合して、Y4全株菌体と反応するモノクロ-ナル抗体を産生するハイブリド-マ細胞21株得た。これらのモノクロ-ナル抗体は、b型多糖抗原と反応するもの(mAb S1-S8)、リポ多糖と反応するもの(mAb LI-L3)、タンパク質抗原と反応するもの(mAb P1-P4)に分類された。 さらに、mAbS5とmAbL2をラテックス粒子に吸着させたあと、歯周病細菌のぜん菌体や菌体抽出物と反応させた。mAb L2吸着ラテックス粒子は、全てのA.actinomycetemcomitansの全菌体や培養上清と特異的に凝集を生じた。mAbS5吸着ラテックス粒子は、b型の血清型のA.actinomycetemcomitans全菌体や培養上清いおよびBacteroides gingivalis全菌体と凝集した。B.gingivalis全菌体の凝集は100℃、3分間の菌体熱処理で消失した。 以上の結果より、本研究で確立したラテックス凝集試験法は、A.actinomycetemcomitansの同定や血清型の判定に有用であると考えれれる。
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