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1988 年度 実績報告書

霊長類の聴覚と音声に関する研究(ヒトの音声言語進化の視点から)

研究課題

研究課題/領域番号 63490014
研究機関京都大学

研究代表者

小嶋 祥三  京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (70027499)

研究分担者 桐谷 滋  東京大学, 音声言語医学研究施設, 教授 (90010032)
毛利 俊雄  京都大学, 霊長類研究所, 助手 (30115951)
正高 信男  京都大学, 霊長類研究所, 助手 (60192746)
松村 道一  京都大学, 霊長類研究所, 助手 (20150328)
キーワードチンパンジー / ニホンザル / 母音知覚 / 子音知覚 / 聴感度 / 半球優位 / 音声発達
研究概要

聴覚の基本特性については、ニホンザル、チンパンジーともにW字型の聴力曲線を示し、ヒトとは異なっていた。感度の低下はニホンザルで6kHz、チンパンジーでは4kHzでみられた。周波数、強度の弁別閾については、ヒト、チンパンジー、ニホンザルの順序でともに上昇する。1kHz、70dBでの周波数弁別閾はヒトが約3Hz、チンパンジーが約12Hz、ニホンザルが約40Hzであった。同じ条件での強度弁別閾は各々約0.5dB、1.5dB、2.5dBであった。
母音知覚については、ヒトと異なりチンパンジーは[i]と[u]、[e]と[o]が類似して聞こえていることが分った。すなわちチンパンジーは第2ホルマントの区別が困難であった。これは上記のW字型の聴感度によるものと考えられる。閉鎖子音の知覚については、有声ー無声の区別はチンパンジーにとって比較的容易であるが、すなわち、[b]ー[p]、[d]ー[t]、[g]ー[k]、は、弁別できるが、調音場所の区別、すなわち、[bーdーg]、[pーtーk]の弁別はより困難であった。
半球優位については、ニホンザルのcoo音の弁別で検討している。現在進行中であるが、一方の耳(すなわち半球)がより優位であるという現象はみられていない。今後チンパンジーも導入して、さらに条件を増やし検討する予定である。
チンパンジーとヒトの音声発達については、以下の点が明らかになった。チンパンジーの乳幼児は生後24時間以内に比較的平静な音声を発する。そのような音声は初めの3週間は比較的頻発するが、40日前後で減少する。その後55日齢頃より発声頻度が急激に上昇する。しかし120日齢頃より減少し、その後は低いレベルで安定する。ヒトの場合は第1期の喃語が減少し、その後第2期の喃語になり、それが音声言語に結びつく。チンパンジーには第2期の喃語がないと考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 小嶋祥三: 霊長類研究. 4. 44-65 (1988)

  • [文献書誌] 小嶋祥三: 生物科学. 40. 87-93 (1988)

  • [文献書誌] 小嶋祥三: 聴覚言語障害. 17. 19-24 (1988)

  • [文献書誌] KOJIMA,S.: Folia Primatologica.

  • [文献書誌] KOJIMA,S.: International Journal of Primatology.

  • [文献書誌] KOJIMA,S.: Human Evolution.

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公開日: 1990-03-19   更新日: 2016-04-21  

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